COBOL言語の歴史とこれまでの進化を知る!廃止・追加機能 | 基礎ガイド
COBOL(コボル)言語の歴史と近年の廃止・追加機能とは
COBOL(コボル)言語の特徴
COBOL言語は、事務処理言語であり、以下の特徴を備えています。
・大容量データを高速処理できる
・帳票の作成やデータの定義が簡単である
・簡単な英語でプログラムの記述ができる
以上の特徴から、COBOLは事務を仕事とする人が事務処理を効率化するためにプログラミングする言語に適していると言えます。
COBOL(コボル)言語の歴史
COBOL言語が誕生したのは1959年です。すでに60年近い歴史があり、その進歩には目を見張るものがあります。
では、簡単にCOBOL言語の歴史をご紹介しましょう。
COBOL言語の誕生の背景
1950年代にはFORTRANという科学技術計算向けの高水準言語がコンピュータ技術者の間で普及していましたが、FORTRANを使いこなすには専門的な知識が必要で、一般的な事務処理担当者が事務帳票作成のためにプログラミングするにはハードルが高い言語でした。
また、FORTRANは科学技術計算向けの言語であったため、事務処理には向いておらず、コンピュータメーカーの間ではそれぞれ独自規格の事務処理言語が使用されていました。
しかし、事務処理言語を統一することの必要性を認識していた当時のアメリカ国防総省により、共通言語の開発が提唱され、CODASYL(Conference on Data Systems Languages、データシステムズ言語協議会)によって開発された事務処理言語がCOBOLです。
CODASYLによる仕様の策定と変化
COBOL言語を開発したCODASYLは、開発後も次々と新仕様を発表し、COBOL-60から始まったCOBOL言語は、COBOL-93の最終版まで、CODASYLによる仕様の更新が続き、徐々に洗練されました。
現在、稼働しているCOBOLシステムの主流はCOBOL85規格ですが、最新版のCOBOL2002規格では、オブジェクト指向も取り入れられ、時代の流れに沿ったCOBOLの規格の変化は今も続いています。
COBOL(コボル)言語の主な規格の制定
COBOL言語の主な規格の制定は以下の表のようになっています。
COBOL(コボル)言語の追加・廃止機能
COBOL言語は、第1次規格から第4次規格まで、多くの必要な機能が追加され、不要な機能が廃止されてきました。
追加された機能の中で注目に値する大きな機能は、簡単に帳票を作成できる「報告書作成機能」、データベースを操作する「データベース機能」、機能ごとにサブルーチン化できる「構造化プログラミング機能」、昨今の時流に対応した「オブジェクト指向対応機能」などです。
廃止された機能は、データ項目の定義で機能がPICTURE句と重複するものなど、あまり使用されない機能や不適当な機能です。ご参考までにCOBOL言語の追加・廃止機能の一覧を記載します。
追加機能一覧
・ソート機能
・報告書作成機能
・算術文での複数の答え
・CORRESPONDING機能
・大記憶ファイルの処理機能
・指標による添字付け、表引き
・プログラム間連絡機能
・映像端末処理用のSUSPEND文
・割り算の余りを求める機能
・注釈行
・一般化されたCOPY機能
・論理的なページあふれ条件の指定と検出
・略語による記法
・EXAMINE文の機能拡張
・通信機能
・翻訳印刷におけるページ送り
・実行時の日付と時刻の呼び出し
・文字列操作機能
・SIGN句
・MERGE文
・データ初期化のためのINITIALIZE文
・WRITE文によるページ送り
・LINAGE句
・INSPECT文の機能拡張
・データベース機能
・ビット列操作
・構造化プログラミング機能
・浮動小数点
・算術式による添字
・組み込み関数
・VALIDATE文によるデータ検証機能
・行の一部分に注釈を書く機能
・表SORT機能
・定数の連結
・画面制御機能
・マルチオクテット処理機能
・ファイルの排他共用制御機能
・オブジェクト指向対応機能
廃止機能一覧
・誤り診断メッセージへの要求
・必須機能と選択機能の区分
・PICTURE句と重複する編集句
・NOTE文、REMARKS段落
・DEFINE文
・データ部の定数節
・RANGE句
・独立項目(レベル番号77)
・ALTER文
・デバッグ行以外のデバッグ機能
・ENTER文
・CORRESPONDING機能
・RERUN機能
・区分化機能
最新規格COBOL2002による追加機能
最新のCOBOL規格であるCOBOL2002では、オブジェクト指向や共通例外処理など、時流に対応した機能が追加されていますので、追加された主な機能をご紹介します。
オブジェクト指向機能
オブジェクト指向機能では、データと手続きのカプセル化、継承、ポリモルフィズムなどが実装できるようになりました。継承とは親クラスの性質を子クラスに引き継ぐ機能で、ポリモルフィズムとは1つの手続きで複数のクラスを扱う機能です。
共通例外処理機能
共通例外処理機能では、従来の入出力処理機能に関係する例外宣言手続きのほかに、データ例外や桁あふれなど,さまざまな例外に対する例外宣言手続きを記述でき、例外オブジェクトを使用した例外処理もできるようになりました。
TYPEDEF句&SAME AS句
TYPEDEF句はデータ構造のひな型となるデータ型を定義する句として追加されました。TYPEDEFで定義したデータ型をTYPE句により参照することで、同じ構造のデータ項目を定義することができます。
SAME AS句はあるデータ名の記述項が別のデータ記述項と同じであることを表す句です。SAME AS句を使用することにより同じ構造のデータ項目を定義することができます。
COBOLの歴史の確認問題
問)
COBOL言語を開発した団体の名称は何か。
答え)
CODASYL(Conference on Data Systems Languages、データシステムズ言語協議会)。
COBOL言語はレガシー言語と言われていますが、時代の要求にそって進化を続け、銀行の大規模オンラインシステムなどでまだまだ稼働し続けている言語です。そのCOBOL言語を使いこなせる技術者が近年では少なくなり、企業は危機にさらされています。
今後も必要とされるCOBOL言語の基礎を知るために、入門編としてこの基礎ガイドを活用してください。
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