COBOL言語の「YPS/COBOL」について理解しよう!|基礎ガイド

日本語でプログラムが作成できるYPS/COBOLとは

基礎-日本語でプログラムが作成できるYPS/COBOL-イメージ

COBOL(コボル)言語をベースに設計されたYPS/COBOLとは?

YPS/COBOLは構造化プログラミングの考え方に基づいた表記法を使用し、業務で使用する用語を含む日本語を使ってプログラムの作成ができる富士通が開発したソフトウェア開発支援システムです。

YPS/COBOLには以下のような特長があります。

1つ目は仕様書とプログラムの一体化です。YPS/COBOL言語は、YPS/COBOLの文法に基づいて作成したYPS仕様書の作成が必要になります。プログラムはこのYPS仕様書を基にして生成されるため、仕様書とプログラムの内容が違うという事が起きない作りになっています。

2つ目は視覚的な図記号の使用です。データの構造や処理の流れを図記号を使用して表現します。そのためプログラムの内容を視覚的に捉える事ができ、プログラムの理解を容易にします。また処理や条件が日本語で記述できるため、プログラミング未経験者でも処理の内容を理解する事ができます。

では手続き部を例に実際の処理の書き方について見ていきましょう。

書き方(開発時にはYPS/COBOL専用のエディタでプログラムを編集する必要があります)

□手続き部

長さ に 100 を入れる

長さ を 表示する

COBOL(コボル)言語の翻訳結果:

PROCEDURE DIVISION.

MOVE 100 TO 長さ.

DISPLAY 長さ.

YPS/COBOLにおける基本事項やルールについて

  1. YPS/COBOLは、以下の4つのコンポーネントから構成されます。
    YPS/COBOLコンパイラ、YPS/COBOLブラウザ、YPS/COBOLデバッガ、YPS/COBOLカバレージブラウザ
  2. 開発に必要となるソフトウェアは以下になります。
    YPS WorkBench V5.1以降、NetCOBOL V10.1.0以降
  3. YPS/COBOLを使った開発手順は以下になります。
    プログラムを作成する。実行可能プログラムを作成する。実行する。デバッグする。網羅度を確認する。
    (通常のプログラミング言語の開発手順とほぼ同様です)
  4. YPS仕様書には、以下の4種類があります。
    プログラム仕様書、インクルード仕様書、外部構文定義仕様書、外部日本語名標 宣言仕様

COBOL(コボル)言語のYPS/COBOLを扱う上での注意点

COBOLの文字列に対してYPSの文法が影響するのは、記述文字と定数になります。

記述文字は、COBOL言語では半角文字で記述しなければならない文字列(語、数字定数、予約語など)についてもYPSの全角文字記述機能を使用することにより、全角文字で記述することができます。

また、引用符で囲んで値を表すものを総称して文字列リテラルといいますが、定数は文字列リテラル内の文字列の値そのものを表し、YPSの機能の作用対象にはなりません。また、文字列リテラル内の文字列の中に全角の引用符と同じ文字を含めたいときは、全角文字記述機能を使用している場合でも、文字列リテラルの両端の引用符を半角で記述する必要があるため注意しましょう。

YPS/COBOLを活用するためのYPS表記について

YPS/COBOLの表記は、図記号と本文から構成されます。図記号はプログラムの制御構造を表現します。また、本文はYPS仕様書を作成する時に開発者が直接記述する部分になります。

サンプルプログラム:

基礎-YPS/COBOLのサンプルプログラム

このようにYPS/COBOLは、図記号と制御線を用いて処理を表現します。図記号はCOBOL言語で学んだ宣言部分、環境部、データ部、手続き部、選択、ループ等、各処理に合わせて用意されています。実際に図記号一覧などを参照しながら作成を進めるといいでしょう。また制御線は多重になることがあります。これを制御線のネストといいます。制御線のネストレベルは、主制御線を0とし右にいくほど数字が大きくなります。YPS仕様書に記述できる物理的な制御線の最大はネストレベル10になりますので覚えておきましょう。

今回ご紹介したYPS/COBOLは日本語を使ってプログラムが作成できるソフトウェア開発支援システムでした。一連の処理や条件を、利用者が日本語文章で定義する事ができるので、一般的なプログラミング言語よりも可読性が高く扱いやすいという特徴を持ちます。ソフトウェア開発の現場ではこのような開発支援ツールは他にもあります。いろいろなツールを試しながら開発の効率化を進めていっていただければと思います。

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