COBOL言語の「INSPECT文」で文字列置換え!基本を知ろう | 用語辞典
COBOL(コボル)言語の予約語INSPECTのREPLACINGを使った命令文の書き方とは
※INSPECT文には文字列の置換えを行う機能(TALLYING)がありますが、別の記事で説明します。
COBOL言語のINSPECT文のREPLACINGとは?
COBOL(コボル)には、文字列のデータの中にある特定の文字列を、別の指定した文字列に置換える場合に使用するINSPECT文のREPLACINGという機能があります。指定した文字列を置換える処理は、例えば取得したデータの内容を更新・変更する場合などによく使われます。
書き方1:すべての対象文字列を置換える
INSPECT [置換え対象文字列] REPLACING
ALL [検索文字列] BY [置換え後文字列] [位置(BEFORE or AFTER)] INITIAL [置換え範囲文字列]
以下にINSPECT文のREPLACINGを使用して、全ての対象文字列を置換えるサンプルを紹介します。
使用例1:
実行結果1:
サンプルではデータ項目WORK-STRに設定した文字列"AABBCCABC-ABCDEF"を、INSPECT文のREPLACINGのALL指定で、検索文字列と置換え後文字列を指定しています。実行結果のとおり、指定した検索文字列が置換え後文字列に置き換わっていることがわかります。
書き方2:最初の文字列だけを置換える
INSPECT [置換え対象文字列] REPLACING
FIRST [検索文字列] BY [置換え後文字列] [位置(BEFORE or AFTER)] INITIAL [置換え範囲文字列]
以下にINSPECT文のREPLACINGを使用して、最初の一致文字列を置換えるサンプルを紹介します。
使用例2:
実行結果2:
サンプルではデータ項目WORK-STRに設定した文字列"AABBCCABC-ABCDEF"を、INSPECT文のREPLACINGのFIRST指定で、検索文字列と置換え後文字列を指定しています。実行結果のとおり、指定した検索文字列が、最初の対象文字列のみ置き換わっていることがわかります。
COBOL言語INSPECT文のREPLACINGのルール
- INSPECT、検索対象文字列、REPLACINGなどの各要素間における空白や改行有無は自由に設定できます。
- 各定数は、英数字または日本語定数でなければいけません。
- 1回のINSPECT文のREPLACINGのALLは1回のみ指定できます。
- 検索文字列は大文字小文字が区別されます。
- 位置にBEFOREを指定すると置換え範囲文字列まで、AFTERを指定すると置換え範囲文字列以降が置換え対象になります。
COBOL言語INSPECT文のREPLACINGの注意点
INSPECT文のREPLACINGは、文字列を検査するのに便利な命令文ですが、注意しておきたい点があります。先に説明したサンプルのように、置換え対象の文字列は明確に大文字と小文字が区別されます。対象の文字列のなかに、検索文字列があったとしても対象の文字列が大文字で、検索文字列が小文字の場合、文字列の置換えは行われません。
以下に大文字と小文字で、それぞれ文字列の置換えを実施した場合のサンプルを紹介します。
実行結果:
実行結果のとおり小文字の"a"は存在しないため、置換えは行われません。
COBOL言語INSPECT文のREPLACINGの活用法
INSPECT文のREPLACINGで文字列の置換えをする場合、対象の文字列が存在しなかったら置換えは行われません。そのため、事前に置換える文字列が存在するか確認したい場合は、INSPECT文のTALLYINGを使用して検索文字列が存在するか、確認する方法があります。
(文字列を検索するINSPECT文のTALLYINGについては、別の記事で詳しく解説しています)
以下に置換え対象文字列が存在するか、事前に確認する簡単なサンプルを紹介します。
- *> INSPECT_SAMPLE04
- IDENTIFICATION DIVISION.
- PROGRAM-ID. INSPECT_SAMPLE04.
- ENVIRONMENT DIVISION.
- CONFIGURATION SECTION.
- DATA DIVISION.
- WORKING-STORAGE SECTION.
- 01 TEST-WORK-AREA.
- 03 WORK-STR PIC x(20).
- 03 WORK-RESULT PIC 9(05).
- PROCEDURE DIVISION.
- MAIN SECTION.
- MOVE "AABBCCABC-ABCDEF" TO WORK-STR.
- INSPECT WORK-STR TALLYING
- WORK-RESULT FOR ALL "ABCDE".
- DISPLAY "検索結果:"WORK-RESULT UPON CONSOLE.
- IF 0 < WORK-RESULT THEN
- INSPECT WORK-STR REPLACING
- ALL "ABCDE" BY "abcde"
- ELSE
- DISPLAY "検索対象無し:"WORK-STR UPON CONSOLE
- END-IF.
- DISPLAY WORK-STR UPON CONSOLE.
- STOP RUN.
実行結果:
サンプルではデータ項目WORK-STRに設定した文字列"AABBCCABC-ABCDEF"をINSPECT文のTALLYINGを使用して、文字列"ABCDE"が存在するか検査しています。
次にIF文を使用して、置換え対象の文字列が存在したら、INSPECT文のREPLACINGを使用して置換え処理を実施し、存在しなかった場合はDISPLAYで”検索対象無し”のメッセージを出力して、処理を終了します。
このようにINSPECT文のTALLYINGとREPLACINGを組み合わせて使用すれば、あらかじめ検索文字列の有無で処理を分岐させることが可能です。
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