COBOL言語の「INSPECT文」で文字列検査!用途を解説します|用語辞典
COBOL(コボル)言語の予約後INSPECTのTALLYINGを使った命令文の書き方とは
※INSPECT文には文字列の置換えを行う機能(REPLACING)がありますが、別の記事で説明します。
COBOL(コボル)言語のINSPECT文のTALLYNGとは?
COBOL(コボル)には、文字列のデータの中に指定した文字列がいくつあるか検査するINSPECT文のTALLYINGという機能があります。指定した文字列の検査は、例えば取得したデータの中に指定した文字列があるか判断し、結果によって処理を分岐するときによく使われます。
本記事では、INSPECT文のTALLYINGについて基本的な使い方やルール、注意点などをご紹介します。
書き方:
INSPECT [検索対象の文字列] TALLYING
[結果保存項目] FOR ALL [検索文字列] [位置] INITIAL [検索範囲文字列].
以下にINSPECT文を使用して、文字列を検査する簡単なサンプルを紹介します。
使用例:
実行結果:
サンプルではデータ項目WORK-STRに設定した文字列"AABBCCABC"を、INSPECT文のTALLYINGを使用して、文字列"A"が存在するか検査しています。検索文字列の出現回数はデータ項目WORK-RESULTに返却されます。実行結果のとおり、検索文字列"A"は3つあることがわかります。
<複数の文字列を検査したい場合>
また、FOR ALL指定での検索文字列は、1度に1回のみしか使用できないため、複数の文字列を検査したい場合は、再度INSPECT文のTALLYINGを記述して、ALLの後に検索文字列を指定しなければいけません。
そのため、複数検索文字列の指定は、以下のように記述する必要があります。
サンプルでは、文字列"A"と文字列"BB"をそれぞれ検索しています。実行結果はAが3、Bが1となります。
また、結果保存項目はINSPECT文ごとに別々の項目を用意する必要があります。紹介したサンプルでは保存項目は、検索文字列ごとにWORK-RESULT1とWORK-RESULT2の2つを用意していますが、保存項目を使い回した場合、INSPECT文ごとに値が加算されてしまいます。
INSPECT文のTALLYINGのCOBOL(コボル)言語における基本事項やルールについて
- INSPECT、検索対象文字列、TALLYINGなどの各要素間における空白や改行有無は自由に設定できます。
- 各定数は、英数字または日本語定数でなければいけません。
- 1回のINSPECT文のTALLYINGのALLは1回のみ指定できます。
- 検索文字列は大文字小文字が区別されます。
COBOL(コボル)言語のINSPECT文のTALLYINGを扱う上での注意点
INSPECT文のTALLYINGは、文字列を検査するのに便利な命令文ですが、注意しておきたい点があります。検査する対象の文字列は、明確に大文字と小文字が区別されます。対象の文字列のなかに、検索文字列があったとしても対象の文字列が大文字で、検索文字列が小文字の場合、出現回数は0となります。
そのため、対象の文字列が大文字か小文字かわからない場合は、INSPECT文でそれぞれALLで大文字と小文字を指定する必要があります。
以下に大文字と小文字でそれぞれ文字列検査した場合のサンプルを紹介します。
実行結果:
実行結果のとおり、小文字の"a"は存在しないため、出現回数は0となっています。
INSPECT文のTALLYINGを使ったCOBOL(コボル)プログラムの活用法
INSPECT文のTALLYINGで文字列を検査する場合、検索対象の文字列の範囲を指定したい場合があります。例えば、カンマ(,)を挟んだ前半の文字列のみ検査したい場合には、書き方で記載したように、検索文字列の後に[位置] INITIAL [検索範囲文字列]を指定する必要があります。
以下に、検索対象文字列の前半部分の文字列のみ検査する簡単なサンプルを紹介します。
- *> INSPECT_SAMPLE03
- IDENTIFICATION DIVISION.
- PROGRAM-ID. INSPECT_SAMPLE03.
- ENVIRONMENT DIVISION.
- CONFIGURATION SECTION.
- DATA DIVISION.
- WORKING-STORAGE SECTION.
- 01 TEST-WORK-AREA.
- 03 WORK-STR PIC x(20).
- 03 WORK-RESULT1 PIC 9(05).
- 03 WORK-RESULT2 PIC 9(05).
- PROCEDURE DIVISION.
- MAIN SECTION.
- MOVE "AABBCC,ABCDEF" TO WORK-STR.
- INSPECT WORK-STR TALLYING
- WORK-RESULT1 FOR ALL "A".
- INSPECT WORK-STR TALLYING
- WORK-RESULT2 FOR ALL "B" BEFORE INITIAL ",".
- *>結果を出力
- DISPLAY "[検索範囲指定なし:" WORK-RESULT1 "]" UPON CONSOLE.
- DISPLAY "[検索範囲指定あり:" WORK-RESULT2 "]" UPON CONSOLE.
- STOP RUN.
実行結果:
サンプルではデータ項目WORK-STRに設定した文字列”AABBCC,ABC1DEF”をINSPECT文のTALLYINGを使用して、文字列"A"が存在するか検査しています。
次に同じくINSPECT文のTALLYINGを使用して、文字列"B"が存在するか検査し、BEFORE INTIALの後にカンマ(,)を指定しています。
BEFORE INITIALの後に検査範囲文字列を指定することによって、検索対象範囲の文字列を指定することができます。
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