COBOL言語の「STRING文」とは?文字連結の基礎知識と注意点 | 用語辞典
COBOL(コボル)言語の予約語STRINGを使った命令文の書き方とは
COBOL(コボル)言語のSTRING文とは?
COBOL(コボル)には、文字列や数値などを連結して、1つのデータ項目とするSTRINGという機能があります。文字列の連結は、データベースの内容を変更して登録したり、文字列をファイルに出力する場合に、使用する機会が多いと言えます。
STRING文は、文字列を連結するのに便利な機能ですが、文字を連結する際には注意するべきこともあります。
本記事では、STRING文の基本的な使い方やルール、注意点などをご紹介します。
書き方1:(文字列同士を連結する)
STRING
[文字列変数1]DELIMITED BY SIZE
[文字列変数2]DELIMITED BY SIZE
INTO [連結するための変数] WITH POINTER[指定位置]
[ON OVERFLOW 無条件文]
END-STRING
※STRINGは、STRING~ENDSTRINGの中に命令文を記述します。
※POINTERは転記先の文字位置を指定する場合に、OVERFLOWは転記先のサイズが超えた場合に条件文を実行します。どちらも指定する必要がなければ、記述する必要はありません。
使用例1:
実行結果:
サンプルでは文字列の変数TEST-STR1、TEST-STR2と、2つのデータ項目を連結するための変数TEST-TXTを定義しています。
文字列の変数に”ABC”と”DEF”を設定し、STRING~END-STRINGの中に連結したい変数と、INTOで連結するための変数TEST-TXTを指定します。
DISPLAYで変数TEST-TXTの結果を確認すると、文字列が連結されているのがわかります。
書き方2:(文字列と数値を連結する)
STRING
[文字列変数] DELIMITED BY SIZE
[数値変数] DELIMITED BY SIZE
INTO TEST-TXT
END-STRING.
使用例2:
実行結果:
サンプルでは数値の変数TEST-NUM、文字列の変数TEST-STRと、2つのデータ項目を連結するための変数TEST-TXTを定義しています。
数値の変数に3を、文字列の変数に”ABC”と設定し、STRING~END-STRINGの中に連結したい変数と、INTOで連結するための変数TEST-TXTを指定します。
また、記載しているとおりSTRINGの中で変数ではなく、文字列(ここでは”DEF”)を直接指定することも可能です。
DISPLAYで変数TEST-TXTの結果を確認すると、数値と文字列が連結されているのがわかります。
STRING文のCOBOL(コボル)言語における基本事項やルールについて
- 変数の文字列の内容が規則に従ってINTOで指定した変数に移されます。しかし、空白づめは行われません。
- DELIMITED(区切り)は区切り文字が現れるまでを転記対象とします。SIZEが指定された場合は、データの全てを転記対象とします。
- POINTER(文字位置)を指定する場合、初期値はSTRING文を実行する前に指定する必要があります。初期値は必ず1以上を設定します。
- POINTERを指定しない場合は、初期値に1を入れたものとみなされます。
- OVERFLOWは転記先のサイズが超えた場合に、条件文が実行されます。
- END-STRINGは、STRINGの範囲を区切るために指定します。
COBOL(コボル)言語のSTRING文を扱う上での注意点
前述したように、STRINGは文字列や数値を連結するのに便利な機能ですが、注意しておきたい点があります。
COBOLは最初に変数を宣言するときに、サイズを指定する必要があります。そのため、STRING文を使用して連結すると、文字列が指定されたサイズ分結合されてしまいます。
例えば、以下のように変数を指定してSTRING文で連結してみます。
・文字列の変数をサイズ10指定で宣言
01 TEST-STR1 PIC x(10).
01 TEST-STR2 PIC x(10).
01 TEST-TXT PIC x(20).
・文字列"ABC","DEF"を指定して連結する
STRING
TEST-STR1 DELIMITED BY SIZE
TEST-STR2 DELIMITED BY SIZE
INTO TEST-TXT
END-STRING.
この処理を実行すると、結果は[ABC DEF ]となり、空白が含まれてしまいます。
実行結果から分かるように、変数でサイズを10を指定しておきながら、実際には3文字の文字数しか使用していないため、STRING文で連結すると空白が入ってしまいます。
しかし、このような問題を解決するために、COBOLには変数の末尾の空白を取り除く関数「STORED-CHAR-LENGTH」があります。
書き方:(STORED-CHAR-LENGTH関数)
[変数](1:FUNCTION STORED-CHAR-LENGTH([変数])
STORED-CHAR-LENGTH関数を使用すれば、変数の1文字目から末尾までの空白を取り除いた結果が返却されます。
使用例:
実行結果:
サンプルでは文字列の変数TEST-STR1、TEST-STR2と、2つのデータ項目を連結するための変数TEST-TXTを定義しています。
文字列の変数に”ABC”と”DEF”を設定し、STRING~END-STRINGの中に連結したい変数を、STORED-CHAR-LENGTH関数を使用して指定しています。
また、INTOで文字列を連結する変数TEXT-TXTもサイズが20のため、DISPLAY関数で出力時にSTORED-CHAR-LENGTH関数を使用しています。
実際のプログラミングにおいて、変数のサイズがあらかじめ判明していることは少ないため、サイズを大きく確保しておく必要があります。
そのため、文字列を連結すると余分な空白まで含まれている場合がありますので、STORED-CHAR-LENGTH関数はSTRING文とセットで使用する機会が多いと言えるでしょう。
STRING文を使ったCOBOL(コボル)プログラムの活用法
文字列や数値などを結合するのに非常に便利なSTRING文ですが、CSVなどのファイルに出力したいとき、文字列と文字列の間に ”, ”(カンマ)などのデリミタ(区切り文字)を挟みたい場合があります。
では、間にデリミタを挟む場合はどうすれば良いのか、サンプルとして簡易的な方法をご紹介します。
- *> STRING_SAMPLE04
- IDENTIFICATION DIVISION.
- PROGRAM-ID. STRING_SAMPLE04.
- *>文字列を扱う変数を定義する
- DATA DIVISION.
- WORKING-STORAGE SECTION.
- 01 TEST-STR1 PIC x(10).
- 01 TEST-STR2 PIC x(10).
- 01 TEST-STR3 PIC x(10).
- 01 TEST-STR4 PIC x(10).
- 01 TEST-TXT PIC x(20).
- PROCEDURE DIVISION.
- MAIN SECTION.
- *>変数に"ABC"、"DEF"、"GHI"、"JKL"を設定
- MOVE "ABC" TO TEST-STR1.
- MOVE "DEF" TO TEST-STR2.
- MOVE "GHI" TO TEST-STR3.
- MOVE "JKL" TO TEST-STR4.
- *>文字列を結合する
- STRING
- TEST-STR1(1:FUNCTION STORED-CHAR-LENGTH(TEST-STR1))
- DELIMITED BY SIZE
- "," DELIMITED BY SIZE
- TEST-STR2(1:FUNCTION STORED-CHAR-LENGTH(TEST-STR2))
- DELIMITED BY SIZE
- "," DELIMITED BY SIZE
- TEST-STR3(1:FUNCTION STORED-CHAR-LENGTH(TEST-STR2))
- DELIMITED BY SIZE
- "," DELIMITED BY SIZE
- TEST-STR4(1:FUNCTION STORED-CHAR-LENGTH(TEST-STR2))
- DELIMITED BY SIZE
- INTO TEST-TXT
- END-STRING.
- *>結合した結果を出力
- DISPLAY "["TEST-TXT(1:FUNCTION STORED-CHAR-LENGTH(TEST-TXT))"]"
- UPON CONSOLE.
- STOP RUN.
実行結果:
サンプルでは文字列の変数TEST-STR1~TEST-STR4と、2つのデータ項目を連結するための変数TEST-TXTを定義しています。
定義した4つの変数に文字列を設定し、STRING文の中で文字列を連結していますが、CSVファイルとして文字列を作成するために、文字列と文字列の間に","(カンマ)を挟んで結合しています。
前述したように、STRING文の中では変数以外にも、文字列や数値を直接指定することが可能ですので、文字列を自在に整形することが可能です。
このサンプルでは、分かりやすくデリミタを直接STRING文の中に入れ込んでいますが、あらかじめデリミタ用の変数を作成しておくのも良いでしょう。
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