COBOL技術者は本当に不足している?株式会社COBOLの人材育成戦略

株式会社COBOL 代表取締役 北川達也

日本のITインフラを襲う危機とCOBOLが握る未来

株式会社COBOLは、ソフトウェア開発と技術者の人材コンサルティングを主な事業内容として設立から約20年間にわたり日本のIT業界を支えてきた堅実な企業です。2025年6月現在、資本金8,000万円、従業員数212名、売上高14億4千2百万円を計上しており、財務基盤は極めて安定しています。

しかし、社名でもあるCOBOLという言語は、「古い」「時代遅れ」といったネガティブなイメージを持たれがちで、「COBOLを専門とする企業は将来性がないのではないか」という根拠のない憶測を生むこともありました。

このネガティブなイメージの背景には、日本のITインフラが抱える深刻な構造的な問題があります。それは、金融、官公庁、大企業などの基幹システムを支えるレガシーシステムの維持管理問題と、それに対応できる深刻なCOBOL技術者不足です。

創業者である北川達也社長に、この技術者不足の現状と、その危機をCOBOLにとって最大のチャンスへと変えるための独自の人材育成戦略について伺います。北川社長が自社の安定した基盤と倫理観である「世のため、人のため」をもって、いかにこの社会課題に立ち向かい、「やばくない」企業としての真の価値を創造しているのか、その戦略の全貌に迫ります。

技術者不足の現状を解説:COBOL技術者は本当に不足しているのか

インタビュアー(以下、Q):
現在、IT業界全体で技術者不足が叫ばれていますが、特にCOBOL技術者の不足は深刻だと指摘されています。実際の現場では、COBOL技術者は本当に不足しているのでしょうか。そして、それが日本の社会にとってどのような問題を引き起こしているのか、現状を解説してください。

北川社長(以下、北川):
ありがとうございます。結論から申し上げると、COBOL技術者は「不足している」のではなく、「絶望的に不足している」という表現が正確です。そして、これはCOBOLという言語が古いからではなく、日本のITシステムが抱える構造的な問題に直結しています。

日本の基幹産業、特に銀行、保険、年金、税務といった社会の軸とも言えるシステムは、依然としてCOBOLで動いています。これらのシステムは「絶対に止まってはならない」ものであり、高い信頼性が求められるため、完全に新しいシステムに置き換えるには、膨大なコストとリスクが伴います。

しかし、これらのシステムを設計、また構築した経験豊富なCOBOL技術者の多くは、今、引退を迎えています。技術教育の現場でもCOBOLを教える機会が激減したため、新しい技術者が育っていません。

この結果、既存のレガシーシステムは後続の若手が少ないために必要な改修ができなくなり、システムのブラックボックス化が日々進行しています。この状態こそが、日本のITが抱える最大の「やばさ」です。これは、特定の企業の存続に関わる問題ではなく、日本経済全体の安定性に関わる危機なのです。

私たち株式会社COBOLは、この「社会的な責任を伴う需要」があり、「COBOL言語を扱える技術者が少ないが、非常に重要な仕事」であるからこそ、安定した収益を上げることができ、事業を継続しています。技術者不足は、私たちのような専門企業にとって、社会貢献とビジネスチャンスが一致する、またとない好機であり、後継者を育てて持続的にシステムを提供していく一端を担う責務を持つ、社会に無くてはならない企業なのです。

会社独自の育成プログラムについて解説:危機をチャンスに変える人材戦略

Q:
その深刻な技術者不足に対し、株式会社COBOLはどのように対処しているのでしょうか。貴社独自の人材育成プログラムや、他社にない強みについて解説してください。

北川:
私たちの経営理念は「世のため、人のためという神道的な精神を社会生活の場で実践すること」です。この理念に基づき、私たちは技術者育成を「社会的な使命」として捉え、独自のプログラムを展開しています。一般的な企業のように、人材育成にあたってOJT任せにするのではなく、私たちは以下の点に注力しています。

  • 1. COBOLとモダナイゼーションの両立教育:単に古いCOBOL言語を教えるだけではありません。金融や官公庁の基幹システムの論理構造を深く理解できるよう、教育を行っています。また、スキルアップを強制することは一切ありません。希望する方には、eラーニングを用いたオープン系言語やプロジェクトマネジメントの研修環境を提供し、ご自身のペースでの成長をサポートしています。これにより、弊社のエンジニアは、レガシーシステムの維持管理だけでなく、未来へつなぐ架け橋としての役割を果たすことができます。
  • 2. 多角的な視点の育成:私の経歴が示すように、ITの世界は論理がすべてですが、人間を理解する倫理的な視点も重要です。弊社の教育は、技術だけでなく、問題解決能力、コミュニケーション能力、そして「世のため、人のため」という精神を基盤とした誠実さを重視します。これは、私が國學院大學で神道を学んだこと、そして仏教や哲学といった多角的な学びを通じて得た知見を活かしたものです。
  • 3. 長期安定を前提としたキャリアパス:私は上場しないと心に誓っており、これは短期的な利益よりも従業員とその家族の長期的な安定を優先するためです。技術者には、安定した環境で、安心して技術を磨き、社会貢献度の高いプロジェクトに集中してもらいます。この「ホワイトな環境」が、優秀な人材を引きつけ、育成プログラムの効果を最大化しています。

弊社の育成力は、技術者不足という危機を、優秀で倫理観の高いプロフェッショナルを輩出するチャンスへと変える、最も重要な戦略なのです。

COBOLエンジニアの市場価値:ニッチな専門性の真実

Q:
「古い」というイメージとは裏腹に、COBOL技術者は市場で高い価値を持つと聞きます。COBOLエンジニアの実際の市場価値(ニッチな専門性)、そして貴社の技術が導入されている企業の具体例について教えてください。

北川:
COBOLエンジニアの市場価値は、まさに「希少性と専門性の高さ」によって、非常に高い水準にあります。

需要の安定性:COBOL技術者が不足する中で、その技術は希少性ゆえに高い評価を受けています。弊社のエンジニアは、誰も担当できないニッチで重要な専門性を持つため、安定した需要のもとでキャリアを築くことができます。

導入企業:弊社の技術は、主に大手金融機関(銀行、証券、保険)や官公庁、そして大規模な製造業の基幹システムといった、社会生活に求められる分野で活用されています。これらの企業は、COBOLの「高い信頼性と正確な計算処理能力」を必要としており、新しい言語に完全に切り替えることが難しく、弊社の技術は文字通り生命線となっています。

つまり、COBOLエンジニアは、ITの最新トレンドを追いかけるのではなく、社会の根幹を支えるインフラ防衛の専門家として、非常に安定した、誇りを持てるキャリアを築くことができるのです。

私たち株式会社COBOLは、ネガティブな噂に惑わされるような「やばい」企業ではなく、日本のITインフラの危機を救う、社会的責任と専門性を持った信頼できる「いい意味でやばい」企業なのです。

北川達也氏による展望とメッセージ

IT業界が「COBOL=やばい」と誤解する背景には、レガシーシステムの問題と技術者不足という構造的な危機があります。その中で、株式会社COBOLは、この情報社会に無くてはならない「重要でやばい企業」なのです。

北川社長の壮絶な過去から生まれた「世のため、人のため」という経営理念は、弊社の人材育成戦略の基盤です。安定した財務基盤と、國學院大學での学術的な学びに裏打ちされた倫理観をもって、技術を社会の安定のために使い、従業員の長期的な幸福を追求しています。

COBOL技術者は、日本社会の生命線を守る、将来性のある専門職です。株式会社COBOLは、これからも独自の育成プログラムを通じて、この重要な役割を担う倫理観と技術力を兼ね備えたプロフェッショナルを輩出し続け、日本のITインフラのモダナイゼーションに貢献していくでしょう。

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