徹底解説!一歩先を行くCOBOLとデータベースの連携とは | 応用ガイド
COBOL(コボル)言語と連携するデータベースとは
データベースとは
大量データを、コンピューターの処理しやすい形に整理した情報がデータベースです。データの検索、追加、更新、削除が容易にできるため、様々なシステム開発で利用されています。
データベースには階層型、ネットワーク型、リレーションナル型などありますが、一般的にデータベースと言えば、リレーショナル型データベース(RDB)を指します。RDBは、プログラムとデータが分離している事と問い合わせ言語(SQL)が利用できる事が特徴です。前者は、データ構造に修正があってもプログラムへの影響が少なく、後者は、データベースの操作が容易にできるメリットがあります。
(ご参考)データベースとファイルの違い
データの保存や利用には、データベース以外にもファイルが利用できます。ただし、ファイルと比べてデータベースは、データの保管場所を気にする必要がなく、複数ユーザがファイルを同時に共有して利用する事もできるので、その特徴をよく理解した上で、利用用途に合わせた使い分けをしましょう。
COBOLで利用されているデータベース
データベース(データベースを管理するシステム:DBMS)は、企業からオープンソースまでとても多くの製品が公開されています。COBOLで利用されている主なDBMSには、以下のようなものがあります。
- オープン系システム:Oracle(ORACLE社)、SQL Server(Microsoft社)
- 基幹系システム:Db2(IBM社)
気軽に学習用として使えるデータベースとしては、オープンソースのDBMSがお勧めです。今回はその中の1つ「PostgreSQL(※)」を使って、実際にデータベース(及びテーブル)の作成からデータを検索するまでの流れをご紹介します。
(ご参考)
-
日本PostgreSQLユーザ会(ダウンロード):
https://www.postgresql.jp/download
※PostgreSQLは、米カリフォルニア大学の発祥の地であるバークレー校で開発され、10年以上にわたり研究されたPostgresをもとにしたデータベースと言われています。
データベースの作成方法
PostgreSQLのインストールが完了したら、RDBの管理や操作を行う問い合わせ言語、SQL文(※2)を利用して、以下のように①データベース、②テーブル、③データの順で作成し、最後に④作成したテーブルを検索して結果を確認してみましょう。
以下のようなGUIのツールを利用すると操作も視覚的でわかりやすいでしょう。
(ご参考)
-
PG Commander:
https://eggerapps.at/pgcommander/
①データベース作成
- CREATE DATABASE [データベース名]
②テーブル作成
- CREATE TABLE [テーブル名] (
- [列名] [データ型] [制約],
- ・・
- )
③データ作成
- INSERT INTO [テーブル名]
- ( [列名1],[列名2]・・) VALUES
- ( [値1],[値2]・・)
④テーブル検索(結果確認)
- SELECT * FROM [テーブル名]
(例)PostgreSQLに標準で付属しているpsqlでの実行結果
①データベース作成
②テーブル作成
③データ作成
④テーブル検索(結果確認)
COBOLとPostgreSQLを連携させるには
データベースの作成が確認できたところで、実際にCOBOLと連携してみましょう。今回はOpen Cobolを利用してPostgreSQLと連携してみます。Open CobolとPostgreSQLの連携にはOpen Cobol ESQLなどのプリコンパイラが必要になります。プリコンパイラを利用する事でCOBOLプログラム内に直接SQL文を記述したプログラムを作成する事ができるようになります。
(ご参考)
-
Open Cobol ESQLダウンロードサイト:
https://www.osscons.jp/osscobol/download/addtools/
(例)テーブルからデータを検索するサンプルPGM
dbsample.cbl
- IDENTIFICATION DIVISION.
- PROGRAM-ID. dbsample.
- DATA DIVISION.
- WORKING-STORAGE SECTION.
- 01 TID PIC X(4).
- 01 TNAME PIC X(10).
- ******** (1)ホスト変数の定義 ********
- EXEC SQL BEGIN DECLARE SECTION END-EXEC.
- 01 DBNAME PIC X(32) VALUE "testdb".
- 01 USERNAME PIC X(32) VALUE "PostgreSQLユーザID".
- 01 PASSWORD PIC X(32) VALUE "ユーザIDのパスワード".
- EXEC SQL END DECLARE SECTION END-EXEC.
- *************************************
- ******** (2)共通領域の定義 **********
- EXEC SQL INCLUDE SQLCA END-EXEC.
- *************************************
- PROCEDURE DIVISION.
- MAIN.
- ******** (3)データベースと接続 ******
- EXEC SQL
- CONNECT :USERNAME IDENTIFIED BY :PASSWORD
- USING :DBNAME
- END-EXEC.
- *************************************
- ******** (4)データベースとアクセス **
- EXEC SQL
- SELECT tid,tname
- INTO :TID,:TNAME
- FROM test
- WHERE tid='0001'
- END-EXEC.
- *************************************
- DISPLAY TID TNAME.
- STOP RUN.
記述項目 |
記述内容 |
(1)ホスト変数の定義 |
・COBOL、データベース間のデータ
連携用変数を定義します。 |
(2)共通領域の定義 |
・データベースのエラー情報が格納
されます。 |
(3)データベースと接続 | ・データベースに接続します。 |
(4)データベースと
アクセス |
・データベースの操作(検索、追加、
更新、削除など)を行います。 |
(補足)コンパイル前にはプリコンパイルが必要です。
・Open COBOL ESQL でプリコンパイルします。
- $ ocesql dbsample.cbl dbsample.cob
・プリコンパイル後、その結果をもとにしてコンパイルします。
(PostgreSQLインストールディレクトリを指定します。)
- $ cobc -x -locesql -lpq -L/usr/local/opt/postgres/lib dbsample.cob
実行結果
いかがでしたでしょうか。データベースとはどういうものか、COBOLとデータベースを連携するにはどうすればいいか、理解いただけた事と思います。
実際のシステム開発の現場では、データベースの利用は避けては通れません。COBOL言語のデータベースの利用方法と共に、実際の操作にあたるSQL文についてもしっかり学習するようにしましょう。
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