徹底解説!一歩先を行くCOBOLと他言語の連携について | 応用ガイド
COBOL(コボル)言語と他言語のプログラムを連携するには
COBOL(コボル)言語と他言語の連携の必要性とは
COBOL言語ではさまざまな業務用のアプリケーションを作成することができますが、システムの規模や使用するハードウェアによっては、他言語との連携が必要な場合があります。
たとえば、CやJavaで記述されたプログラムをCOBOLから呼出して必要なデータを処理したり、COBOLで作成されたプログラムを他言語から呼び出すこともあります。
そのため、他言語間での連携を実現するために、COBOLでは他言語と連携する機能が用意されています。
COBOL(コボル)とC言語を連携する方法
ここではCOBOLとC言語を連携する方法について解説します。
COBOLは、他言語の中でも特にC言語と連携することが多く、頻繁に相互間で呼出しを行うこともあります。
COBOLからC言語の関数を呼び出す場合は、CALL文を使用します。
CALL文はCOBOLの副プログラムを実行する場合に主に使用されますが、関数名を指定することにより、他言語の関数を呼出して実行することが可能です。
COBOL側で関数を呼び出す場合は、関数名と他言語側で処理する関数名が一致している必要があります。
引数を渡すときはCALL文のUSING指定のあとに引数を指定します。引数指定時は、C言語の関数で定義した引数の数と一致した数の引数を指定する必要があります。
■書式1
CALL "関数名" USING 値1 ….
■書式2
値渡しの場合はUSING指定のあとにBY VALUE等を指定する必要があります。
CALL "関数名" USING BY VALUE 値1 ….
COBOLプログラムの記述例:
C言語プログラムの記述例:
COBOL側とC言語側で関数名の一致及び、引数の数は合わせておきます。
また、C言語と連携するには後述する同時コンパイルでオブジェクトファイルを作成する必要があります。
個別にコンパイルして、COBOL側からCALL文でC言語の関数を呼出してもエラーとなりますので注意しましょう。
■プログラム例
ここで紹介するプログラムはCOBOL側でC言語に渡す値を設定し、CALL文で設定した値をC言語の関数の引数に指定して呼出します。
C言語側のプログラムでは、COBOLから渡された値を元に演算を行い、結果を出力します。
sample_cob.cob
- IDENTIFICATION DIVISION.
- PROGRAM-ID. sample_cob.
- ENVIRONMENT DIVISION.
- DATA DIVISION.
- WORKING-STORAGE SECTION.
- *>Cプログラムに渡す値の定義
- 01 WORK-NUM.
- 03 NUM-1 PIC 9(2) COMP-5.
- 03 NUM-2 PIC 9(2) COMP-5.
- PROCEDURE DIVISION.
- DISPLAY "COBOL PROGRAM START".
- *>C言語に渡す値の設定
- MOVE 10 TO NUM-1.
- MOVE 20 TO NUM-2.
- *>C言語の関数の呼出し
- CALL "sample_c" USING BY VALUE NUM-1 NUM-2.
- DISPLAY "COBOL PROGRAM STOP".
- STOP RUN.
sample_c.c
- #include
- //計算を行う関数
- int sample_c(int num1, int num2)
- {
- printf("C PROGRAM START¥n");
- //COBOLプログラムから渡された引数を元に計算を実施
- int sum;
- sum = num1 + num2;
- printf("sum = %d¥n", sum);
- printf("C PROGRAM END¥n");
- return 0;
- }
プログラムを作成したら以下のようにコマンドを実行し、オブジェクトファイルを作成します。
■コンパイルコマンド
cobc -x --free -o オブジェクトファイル名 COBOLプログラムファイル名 連携先プログラムファイル名
■コンパイル実行例
今回のようにCOBOLプログラムのファイル名を「sample_cob.cob」、連携先のC言語プログラムのファイル名を「sample_c.c」、実行ファイル名を「sample」とする場合は、以下のように記述します。
cobc -x --free -o sample sample_cob.cob sample_c.c
コンパイルが成功すると、オブジェクトファイル「sample」が作成されます。
作成されたオブジェクトファイルを「./sample」で実行します。以下のように実行結果が出力されたら成功です。
実行結果のとおり、COBOL側で設定した値がC言語側の関数で引数として受け取り、値が正しく計算されていることがわかります。
また、注意点としてCOBOLプログラムとC言語のプログラム間で関数名や引数の数は一致しなくてもコンパイルは通ってしまいます。
そのため、予期せぬ不具合を起こさないためにもプログラム間で関数名と引数の数は必ず合わせておきましょう。
練習問題
ここでは練習問題にチャレンジしてみましょう。
問)
COBOL言語で作成されたプログラムから、C言語のプログラムを呼び出すときに使用する命令文は何か?
答え)
CALL文
ここで紹介したようにCOBOLプログラムと他言語の連携はそれぞれの言語仕様に注意して、呼び出す方法さえ理解していれば特に難しい操作は不要です。
今回はC言語との連携方法を紹介しましたが、他の言語でもCOBOLとのオブジェクトを作成可能なコンパイルが用意されていれば、同じように連携することができます。
実際の開発の現場でもCOBOLと他言語の連携はよく行われますので、連携方法はしっかりと理解しておきましょう。
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