COBOLプログラムのパターンを学ぼう!「キーブレイクとデータ集計」 | 応用ガイド
COBOL(コボル)言語でよく使われるキーブレイクとデータ集計とは?
COBOL(コボル)言語の「キーブレイク処理」とは?
COBOL(コボル)プログラムの処理パターンの1つであるキーブレイク処理(コントロールブレイク処理)は、ソート済みのレコードを順に読み込み、レコードをあるキー項目ごとにグループ分けして処理を行うことを意味します。
グループ分けする単位は業務要件等により変わってきますが、グループ単位で情報を集計して結果を導き出すため、ちょうど表計算ソフトEXCELのピボットテーブルに似た使い方になります。
COBOL(コボル)言語の「キーブレイクとデータ集計」の処理構成
実際にキーブレイクとデータ集計の基本的な処理構成について見ていきましょう。この処理構成を理解する事が今回の処理の理解につながります。
[基本的な処理構成]
1.初期処理、2.主処理、3.終了処理
各処理で実施する処理内容は以下の通りです。
※処理はファイルのレコードがキー順にソートされている事が前提です。
1.初期処理 |
ファイルオープン処理を行います。
さらに1件目のファイル読み込み処理を行います。 最初にファイルを読み込むのは、この後にキー項目ごとにグループ分けして処理を行 うためです。 |
2.主処理 |
ファイル読み込み処理、キーブレイク・データ集計処理を行います。
ファイル読み込み処理を再度実施し、初期処理のレコードと比較します。 さらに、キー項目が変わるタイミングでファイル出力処理を行います。 |
3.終了処理 | ファイルクローズ処理を行います。 |
基本的な処理構成を見ていただければおわかりになるかと思いますが、1.初期処理、3.終了処理はファイル操作の共通の処理になり、2.主処理のキーブレイク処理、データ集計処理を業務要件に合わせて記述する事で、様々な処理要件に対応する事ができます。では基本的な処理構成について記述したサンプルプログラム(使用例1)を用意しましたので、その書き方について見ていきましょう。
使用例1:
使用例1は、ファイルを読み込み、キー項目が同じ間は数字項目を加算し、キー項目が違う場合はキー項目及び、加算していた数字項目の結果をOUT01ファイルに出力するというプログラムになります。入力ファイル、出力ファイルを見ていただくと、キー項目(年)単位に数字が集計されている事がおわかりいただけるかと思います。
入力ファイル(in01.txt):
実行結果:
出力ファイル(out01.txt):
COBOL(コボル)言語の「キーブレイクとデータ集計」の応用的な使い方
キーブレイクとデータ集計の基本的な処理構成と書き方について理解いただけたでしょうか。今度は、応用的な使い方について考えていきましょう。
キーブレイクとしてグループ分けする単位は1つのキー項目である必要はありません。例えばAグループ、さらにAグループの中でもグループ分けして処理を行う、というような使い方もできます。では、具体的なサンプルプログラム(使用例2)を用意しましたので、しっかり内容を理解して実際のプログラム作成に活用いただければと思います。
グループ分けする単位が多くなると処理が複雑になり理解しづらくなりますので、その点は注意して活用しましょう。
使用例2:
- IDENTIFICATION DIVISION.
- PROGRAM-ID. SUM_SAMPLE02.
- ENVIRONMENT DIVISION.
- INPUT-OUTPUT SECTION.
- FILE-CONTROL.
- SELECT IN01-FILE
- ASSIGN TO "in01.txt"
- ORGANIZATION IS LINE SEQUENTIAL
- FILE STATUS IS IN-FILE-STATUS.
- SELECT OUT01-FILE
- ASSIGN TO "out01.txt"
- ORGANIZATION IS LINE SEQUENTIAL.
- DATA DIVISION.
- FILE SECTION.
- FD IN01-FILE.
- 01 IN01.
- 03 IN01-YEAR PIC X(04).
- 03 IN01-MONTH PIC X(02).
- 03 IN01-SUJI PIC 99.
- FD OUT01-FILE.
- 01 OUT01.
- 03 OUT01-YEAR PIC X(04).
- 03 OUT01-MONTH PIC X(02).
- 03 OUT01-SUJI PIC 999.
- 03 OUT01-SUJI-ALL PIC 999.
- WORKING-STORAGE SECTION.
- 01 IN-FILE-STATUS PIC XX.
- 01 WK-KEY-AREA.
- 03 WK-KEY-OLD.
- 05 WK-KEY-OLD-YEAR PIC X(04).
- 05 WK-KEY-OLD-MONTH PIC X(02).
- 03 WK-KEY-NEW.
- 05 WK-KEY-NEW-YEAR PIC X(04).
- 05 WK-KEY-NEW-MONTH PIC X(02).
- 01 WK-SUM-AREA.
- 03 WK-SUM-SUJI PIC 999.
- 03 WK-SUM-SUJI-ALL PIC 999.
- PROCEDURE DIVISION.
- *> 1.初期処理(ファイルオープン)
- OPEN INPUT IN01-FILE.
- OPEN OUTPUT OUT01-FILE.
- READ IN01-FILE
- AT END
- DISPLAY "READ END"
- NOT AT END
- MOVE IN01-YEAR TO WK-KEY-NEW-YEAR
- WK-KEY-OLD-YEAR
- MOVE IN01-MONTH TO WK-KEY-NEW-MONTH
- WK-KEY-OLD-MONTH
- MOVE IN01-SUJI TO WK-SUM-SUJI
- MOVE IN01-SUJI TO WK-SUM-SUJI-ALL
- END-READ
- *> 2.主処理(キーブレイク処理、データ集計処理)
- PERFORM UNTIL IN-FILE-STATUS NOT = "00"
- READ IN01-FILE
- AT END
- DISPLAY "READ END"
- MOVE WK-KEY-OLD-YEAR TO OUT01-YEAR
- MOVE WK-KEY-OLD-MONTH TO OUT01-MONTH
- MOVE WK-SUM-SUJI TO OUT01-SUJI
- MOVE WK-SUM-SUJI-ALL TO OUT01-SUJI-ALL
- WRITE OUT01
- NOT AT END
- MOVE IN01-YEAR TO WK-KEY-NEW-YEAR
- MOVE IN01-MONTH TO WK-KEY-NEW-MONTH
- *> キーブレイク1
- IF WK-KEY-NEW-YEAR = WK-KEY-OLD-YEAR
- *> データ集計
- THEN
- *> キーブレイク2
- IF WK-KEY-NEW = WK-KEY-OLD
- THEN
- COMPUTE WK-SUM-SUJI = WK-SUM-SUJI + IN01-SUJI
- COMPUTE WK-SUM-SUJI-ALL = WK-SUM-SUJI-ALL + IN01-SUJI
- ELSE
- *> ファイル出力
- MOVE WK-KEY-OLD-YEAR TO OUT01-YEAR
- MOVE WK-KEY-OLD-MONTH TO OUT01-MONTH
- MOVE WK-SUM-SUJI TO OUT01-SUJI
- MOVE WK-SUM-SUJI-ALL TO OUT01-SUJI-ALL
- WRITE OUT01
- *> 次のキーをセット
- MOVE WK-KEY-NEW TO WK-KEY-OLD
- MOVE IN01-SUJI TO WK-SUM-SUJI
- COMPUTE WK-SUM-SUJI-ALL = WK-SUM-SUJI-ALL + IN01-SUJI
- END-IF
- ELSE
- *> ファイル出力
- MOVE WK-KEY-OLD-YEAR TO OUT01-YEAR
- MOVE WK-KEY-OLD-MONTH TO OUT01-MONTH
- MOVE WK-SUM-SUJI TO OUT01-SUJI
- MOVE WK-SUM-SUJI-ALL TO OUT01-SUJI-ALL
- WRITE OUT01
- *> 次のキーをセット
- MOVE WK-KEY-NEW TO WK-KEY-OLD
- MOVE IN01-SUJI TO WK-SUM-SUJI
- MOVE IN01-SUJI TO WK-SUM-SUJI-ALL
- END-IF
- END-READ
- END-PERFORM.
- *> 3.終了処理(ファイルクローズ)
- CLOSE IN01-FILE.
- CLOSE OUT01-FILE.
- STOP RUN.
- END PROGRAM SUM_SAMPLE02.
使用例2は、使用例1とほとんど同じような処理の流れになっていますが、比較するキー項目が年、年月と2つ存在しています。キー項目を2つ作る事で2つのグループ単位に数字を集計する事ができます。
処理については、まずファイルを読み込み、キー項目1(年)が同じ場合、キー項目2(年月)の比較を行います。キー項目2も同じ場合は数字項目を加算し、キー項目2が違う場合はキー項目及び、加算していた数字項目の結果をOUT01ファイルに出力します。この時キー項目2(年月)単位に集計した数字とキー項目1(年)単位に集計した数字を出力しているところがポイントです。キー項目1(年)が違う場合は、キー項目及び、加算していた数字項目(年月、年)の結果をOUT01ファイルに出力し、加算していた数字項目(年月、年)をクリアします。
入力ファイル、出力ファイルを見ていただくと、キー項目(年月、年)単位に数字が集計されている事がおわかりいただけるかと思います。
入力ファイル(in01.txt):
実行結果:
出力ファイル(out01.txt):
練習問題
最後に練習問題にチャレンジしてみましょう。
問)
先ほどまでのサンプルプログラムはデータ集計するグループの単位として、使用例1では年単位、使用例2では年及び年月単位にしました。では、使用例1を年月日単位にデータ集計するためには、どのようにプログラムを修正しないといけないでしょうか?
答え)
以下のような処理を追加します。
まずは、グループ分けしているキー項目(WK-KEY-OLD、WK-KEY-NEW)を年月日(8桁)に変更します。これは入力するデータのキー項目(IN01-YEAR)及び出力するデータのキー項目(OUT01-YEAR)も同様です。後の処理はキー項目のデータ長に関わらずそのままで使用できます(IN01-YEAR、OUT01-YEARの名称は必要に応じて変更してください)。
注意点としては、用意する入力データも年月日単位にしておく必要がある点です。
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