START文の「トランザクション処理」ついて理解しよう!|用語辞典
COBOL(コボル)言語の予約語STARTを使ったトランザクション処理とは
COBOL(コボル)言語のトランザクション処理とは?
トランザクション処理は、一連の処理を一つの論理的な機能としてまとめ、その機能の完了を保証する仕組みになります。銀行の預金口座の取引を例に考えると、例えばお金を預ける場合、預けた後に預金残高が更新されます。しかし、何らかの問題が発生しお金を預ける事ができなかった場合は残高の更新作業が取り消されます。トランザクション処理とはこのお金を預ける処理にあたり、その中には正常にお金を預けられれば残高が更新され、異常な場合は取引を取り消し、お金を預ける機能を保証している。このように理解いただけるいいかと思います。ではさらに理解を深めていただくために実際にCOBOL言語での使い方について見ていきましょう。
まずはSTART文のおさらいから。
書き方(START文)
START ファイル名 KEY 比較演算子 データ名
INVALID KEY 無条件文1
NOT INVALID KEY 無条件文2
END-START.
比較演算子がポイントで「IS EQUAL TO」の場合、ファイルのKEY項目がデータ名と「等しくなる」開始位置から処理を進める事ができます。この後の活用法でも使用していますので覚えておきましょう。
START文でトランザクション処理を行う際の基本事項やルールについて
1.START文は相対編成ファイル、索引順編成ファイルのキー情報を基に処理開始位置が決まります。
順編成ファイルやテキストファイルはキー情報がありませんので使用できません。
2.INVALID KEYに処理が移った場合、別のキー情報を使用して再びSTART文を実行するか、異常と判断して、プログラム処理を中断させ処理を取り消す必要があります。
COBOL(コボル)言語のSTART文を扱う上での注意点
INVALID KEYに処理が移った場合、ファイルの位置指示子が不定になります。この状態でさらにREAD文などを実行するとレコードの読み込みは行う事ができず、レコードの読み込み終了判定も行う事ができないため、処理が無限ループ状態に陥る事になりますので注意してプログラミングを行うようにしましょう。
START文のトランザクション処理を使用した活用法
ではSTART文のトランザクション処理について考えていきましょう。ここではスーパーの商品の価格情報を更新する例で考えます。スーパーには商品の価格情報を記録したマスタファイルが存在しています。「商品番号、商品名、価格」といった内容が保存されています。商品の価格は日々変わりますので、毎日商品の価格を更新するというトランザクション処理が必要になります。更新に使用するトランザクションファイルは昨日から価格が変わるものだけがリストアップされています。マスタファイルと同様に「商品番号、商品名、価格」といった内容で情報が作られます。では実際に2つのファイルから商品の価格を更新するトランザクション処理を考えてみましょう。
サンプルプログラム(START):
- IDENTIFICATION DIVISION.
- PROGRAM-ID. START_SAMPLE.
- ENVIRONMENT DIVISION.
- INPUT-OUTPUT SECTION.
- FILE-CONTROL.
- SELECT IN-FILE
- ASSIGN TO "SEIHIN2"
- ORGANIZATION IS INDEXED
- RECORD KEY IS IN-CODE.
- SELECT IN2-FILE
- ASSIGN TO "SEIHIN3"
- ACCESS MODE IS SEQUENTIAL
- ORGANIZATION IS LINE SEQUENTIAL.
- DATA DIVISION.
- FILE SECTION.
- FD IN-FILE.
- 01 IN-REC.
- 03 IN-CODE PIC 9(03).
- 03 IN-HINMEI PIC X(10).
- 03 IN-KAKAKU PIC 9(04).
- FD IN2-FILE.
- 01 IN2-REC.
- 03 IN2-CODE PIC 9(03).
- 03 IN2-HINMEI PIC X(10).
- 03 IN2-KAKAKU PIC 9(04).
- WORKING-STORAGE SECTION.
- 01 WORKING-AREA.
- 03 END2-FLG PIC X(03).
- PROCEDURE DIVISION.
- *> ファイルオープン
- OPEN I-O IN-FILE.
- OPEN INPUT IN2-FILE.
- *> レコード読み出し
- MOVE SPACE TO END2-FLG.
- PERFORM UNTIL END2-FLG = "END"
- READ IN2-FILE
- AT END
- MOVE "END" TO END2-FLG
- NOT AT END
- DISPLAY IN2-REC
- MOVE IN2-CODE TO IN-CODE
- START IN-FILE KEY IS EQUAL TO IN-CODE
- INVALID KEY
- DISPLAY "入力された番号のレコードが存在しません"
- GO TO END-PROC
- NOT INVALID KEY
- READ IN-FILE
- AT END
- CONTINUE
- NOT AT END
- DISPLAY IN-REC
- MOVE IN2-KAKAKU TO IN-KAKAKU
- REWRITE IN-REC
- END-READ
- END-START
- END-READ
- END-PERFORM.
- *> 終了処理
- END-PROC.
- CLOSE IN-FILE.
- CLOSE IN2-FILE.
- STOP RUN.
マスタファイル(IN-FILE:索引編成ファイル):
トランザクションファイル(IN2-FILE:順編成ファイル):
実行結果(START):
今回はSTART文のトランザクション処理をご紹介しました。今回の例ではファイルを使用したトランザクション処理の例となっていますが、トランザクション処理はデータベースを使用したものも一般的ですので是非データベースを用いたトランザクション処理についても考えていただき、理解を深めていただければと思います。
この記事を読んだ人は、こちらの記事も読んでいます
【未経験者歓迎】COBOLプログラマー・システムエンジニアの募集
COBOL入門のカテゴリー
1. 優良社員が多数在籍しています
2. 即日派遣、又は請負います
3. 安心価格で請負います
4. 同時、協力会社募集中です
1. 正社員
2. 契約社員
3. 個人事業主
などの 求人情報 が閲覧できます。
目指せ!COBOLダントツ一番企業。
創業当初の話や理念が閲覧できます。
応募条件
※2020年5月31日を以って、締切りました。
18歳~28歳の方。
正社員採用において、北川社長の著書『祈り方が9割』を読んで感想文を事前に提出すると、無条件で最終面接まで進むことができます。
COBOLとは、どのようなプログラミング言語なのか、初心者にもわかりやすく、文法の例をあげて解説してます。
COBOL入門の人気記事
- COBOL言語で計算処理をするなら「COMPUTE文」|入門用語辞典
- COBOL言語の「ACCEPT文」の使い方を分かり易く解説|入門用語辞典
- COBOL言語初心者も安心! 難解「CALL文」をスッキリ解決|入門用語辞典
- 徹底解説!一歩先を行くCOBOL言語のCOPY文活用法|応用ガイド
- 一歩先を行くCOBOL言語の表操作!逐次検索と二分検索|応用ガイド
- COBOL言語の加算処理の基本を伝授! 命令文「ADD」とは?|入門用語辞典
- 徹底解説!一歩先を行くCOBOL言語のファイル併合処理|応用ガイド
- COBOL言語でファイルの開閉命令はOPEN文とCLOSE文!|入門用語辞典
- 徹底解説!一歩先を行くCOBOL言語のデータ共有|応用ガイド
- COBOL言語とは?プログラムの書き方やルールを解説!|基礎ガイド
- COBOL言語の歴史とこれまでの進化を知る!廃止・追加機能|基礎ガイド
- COBOL言語のオブジェクト指向について理解しよう!|基礎ガイド
- COBOL言語のディスプレイ出力とコンソール入力について|基礎ガイド
- COBOL言語が得意とする計算処理を体験してみよう!|基礎ガイド
- 一歩先を行くCOBOL言語のユーザ定義関数について|応用ガイド
- 初心者から中級者でも安心!理解できるCOBOL言語の勉強法|学習講座
- 初心者必見!COBOL言語を効率よくマスターする勉強法とは|学習講座
- COBOL初心者が犯しやすいミスとその対策について|学習講座
- COBOL初心者がやってはいけない勉強方法とは?|学習講座
- 一歩先へ行くCOBOLプログラマの知っておくべき4つのヒント|学習講座